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車いすから一歩踏み出す

2011.10.07

バリアフリーというとき、最初に思い浮かぶのは何だろうか。多くの人にとっては、それは「車いす」であろう。障害のないまちづくりをめざすときも、わかりやすく目に見えるということから、車いすがそのシンボルになった。しかし、今やそこからもう一歩踏み出すときがきている。アメリカ障害者法(以下ADA)の制定にあたっても問題になったようだが、現実の場面においては障害の異なる障害者間の利害の対立が、設計において表面化することもある。端的な例をあげれば、道路と歩道の段差は車いす利用者にとっては致命的であり、できれば完全に平らなほうが望ましい。一方、視覚障害者にとっては、ここの段差は手がかりとして重要であり、平らでは困る。そこで現実には、施工の困難さを含めての両者の妥協点が三センチまでに段差を押さえるという解決策になっている。ほかにも似たような状況は少なくない。情報を入手するという面では、視覚障害者と聴覚障害者とではまったく異なったバリアが存在する。間に人がいれば、文字やシンボルと音声とを必要に応じて使い分けたり、付加的に使ったりして比較的簡単に伝達可能なものが、機器だけで対処しようとすると非常な困難が生じるのである。これは、実は高齢者にとっては場合によっては同一の問題として浮かび上がってくる。

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