今年九十一歳になる私の父などは、一年中コタツがなければ困ると言います。梅雨の頃などヒンヤリした日には、スイッチを入れればすぐに暖まるコタツがあると安心するようです。老人に対しては、老人が寒いと困ると思うだけではなく、老人の生死に関わると考えて良いでしょう。室内の温度差が急激に違う所では、お年寄りの事故が多くなります。たとえば浴室やトイレなどが代表的な例としてあげられます。浴室は、最初入浴する人にとっては、タイルの床は冷え切っていて、すごく寒い思いをします。そこであわてて浴槽へ入る−大して熱くないお湯でも、大変熱く感じます。すると、その急激な温度変化で、老人は倒れて死亡事故につながるケースが少なくないのです。そこまで考えて、新居の環境をつくらなければなりません。脱衣室で衣服をぬぐ時から寒く、浴室に入ればさらに寒く、が直接の死亡事故原因になっています。この死亡率は、高齢者が七〇%を越えています。まず高齢者の血管の働きについて考えてみましょう。人間の体温を調節する働きをするのは、皮膚です。皮膚は寒ければ毛細血管が縮まって皮膚の表面にはあまり血液がこなくなります。また夏は血管がひろがって体温が表面から逃げるようになり、足りなければ汗を出して体温を下げます。けれども老人になると、皮膚の血管の反応がにぶくなるので、暑さ寒さに対応できなくなってしまいます。
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